2024年5月26日から5月30日は夏‐小満‐次候・第二十三候「紅花栄:べにばなさかう」です。
今年も紅花の種を蒔きました。購入した種の袋には「寒地/寒冷地では4月末から5月末までが蒔き時、7-8月が開花期」となっています。北信地方で紅花が咲くにはまだ二か月かかりますね。
では七十二候第三十二候の紅花はどの地域のことを述べているのでしょう?
武州における紅花生産-幕末の商品作物生産の事例- (黒須茂, 第31巻, 第6号, 23-33項, 信濃(信濃史学会, 昭和54年6月1日発行))によると「羽州では春蒔きで夏六月初旬ごろから収穫されるが、武州では前年の秋に蒔き付けられ、翌年の五月に開花している。関東では武州よりも早く、一部の地域で紅花が栽培されていた。元禄期や正徳期の相模、上総などである。武州に近い下総地方でも近世初期の段階から紅花が作られている」とありました。これらの地域は、現在の東京周辺、神奈川、埼玉、茨城、千葉にかけての地域にあたります。
また、七十二候の記述のほとんどは明治七年(1874年)の「略本歴」に基づいています。江戸時代の終わり(1868年)からほどなくして編纂されました。
つまり、第二十三候「紅花栄:べにばなさかう)は江戸近郊地方の紅花栽培について記述したのではないかと思います。